漆黒の闇から仮面の男は目を覚ます。 ……ここは何処だ? いつもと違う場所にいることに気付き、グラントは辺りを見回す。 広さは20平米程の空間で、四方の壁は黒いタイルで埋められていた。天井は3メートル近く。窓一つ無い。 中央にベッドが置かれており、その上に大柄の男が眠っていた。 大きな寝息を立てながら眠っている男に、グラントはその傍まで歩み寄る。 するとその時、男は目を覚ましゆっくりと起き上がった。 そして上半身を起こし大きく欠伸をする。 目の前で起き上がった人物は赤い鳥を模したマスクを被っており、素顔が全く分からない。 上半身は裸で鍛え上げられた鋼のような肉体をしており、胸筋と腹筋は大きく隆起している。 下半身は黒のロングタイツを履いた脚は大腿筋が発達しており太股が大きく盛り上がっている。 どうやらこの男はプロレスラーのようだ。 先程までは良く眠っていたが漸く意識がはっきりしてきたのか、大きな背伸びをしている。 そんな男を見てグラントは声をかける。 「おい、此処は何所だ?」 「……ヘイ、ユーがこの悪戯を仕組んだのかい? 私はたしか試合後に控室で仮眠をしていた筈なのだが……」 ……この男も何も知らないというのか。ならば一体誰が? まあいい、とにかく此処から出て探し出すまでだ。 どんな手品かは分からないが、この部屋には窓どころか扉一つ無い。つまり出入口が全く無い。 なら無い物は作り出せばいい。 グラントは壁の前に立つ。そして拳を振り上げる。 その瞬間、全身の力を込めて目の前の壁を殴りつけた。 鈍い音と共に拳が黒いタイルにぶち当たる。 ……何だと? コンクリート壁程度なら容易く砕ける剛力を誇るグラントだが、殴った箇所は先程と同様にまるで鏡のようにツルリとしており全く傷ついていなかった。 「……面白い」 グラントは全身に力を入れると神経を集中させた。 空気が振動すると同時に身体の周囲に禍々しい紫色の闘気が集まり始める。 「ヘイ、ユーは何を……」 「離れていろ」 背後からの声にグラントは振り向きもせず短く答えると、右足を後ろに大きく振りかぶった。 「魔神破天弾ッ!」 右足を振り上げたその瞬間、轟音と共に凄まじい衝撃が部屋全体に走る。 「なっ!?」 刹那、凄まじい衝撃がグラントに襲い掛かる。一瞬意識を失いかける程の一撃を受けグラントは後ろに吹き飛ばされた。 「危ない!!」 床に叩きつけられそうになるグラントを咄嵯に飛び出してきたマスクの男が抱きかかえる。 だが、それでも勢いを殺しきれず二人はそのまま床に叩きつけられた。 「ぐふぅっ!!……大丈夫かね、ユー……怪我は無いか?」 「……余計な真似を」 グラントは忌々しげに立ち上がる。 どうやらグラントの奥義でもこの部屋からは出る事は不可能のようだ。 「落ち着け!ユーのあれ程の技が通用しないなら恐らく我々の力では脱出は無理だろう。まずは冷静になるんだ!」 非常に不本意だが確かにこの男の言う通りなのだろう。 「……ふん」 グラントは鼻を鳴らした。 「……わかった……俺は冷静だ」 「オーケー!ここは自己紹介しよう。私の名はグリフォンマスク。正義のプロレスラーだ!ユーの名は?」 「……グラント」 改めて部屋の中を見る。 部屋は黒いタイルの壁と天井に囲まれており、窓も扉もない。中央にはキングサイズのベッドが一つ。 他にあるとすればベッドの横に置かれているサイドテーブルぐらいだろうか? グラントはベッド横に置かれたサイドテーブルへと近づく。 サイドテーブルの上には一枚の紙が置かれていた。 ------------ 【脱出条件】 1:相互に相手の陰茎を刺激して、互いの身体を密着させた状態で同時に射精すること。 2:行為を互いの体力の限界まで続けること。 ・前提条件 A:互いに服を脱いで全裸になること。 B:頭部の着用物は外してはならない。 C:服は自分で脱いではならない。 D:自分の手だけで自身の陰茎を刺激してはならない。 E:口や肛門で陰茎を刺激してはならない。 F:部屋の中央に設置されたベッドの上、もしくは近辺で行う事。 ※その他行為に必要な物はサイドテーブル内にあり。 ------------ グラントは紙に書かれた内容を見て眉間に深い皺を寄せた。 紙に書かれている内容は実にふざけたものばかりだ。但しこの部屋の異常さを鑑みるにそれが事実であることは疑いようがなかった。 だが、それは余りにも屈辱的過ぎる。 「……脱出の方法を見つけたぞ」 ベッドの下を調べていたグリフォンに声をかけると、驚いたように顔を上げた。 「本当か!?流石はユーじゃないか、それでどんな方法なんだ?」 グラントは無言で紙を渡す。 「ふむ、なるほど。これは……また……随分と悪趣味なものだ。だが、確かにこの方法でしか出られないようだな。ところで一つ聞きたいのだが……」 「何だ?」 「何故、ユーはそんなにも平然としていられるんだ?脱出する為とはいえ見ず知らずの他人とその……自慰行為をするというのに」 「……何をためらう事がある?むしろ貴様のようなプロレスラーならよくある事ではないのか?」 グラントの言葉を聞いてグリフォンは俯きながら首を横に振った。恐らくマスクの下の顔は真っ赤になっているのだろう。 「貴様、まさか怖気付いたのか?」 「そうではないが……自信が無いのだ」 グリフォンは絞り出すように続ける。 「その……私は今まで男性……というより女性とも……こういった経験は無いのだが……大丈夫だろうか?」 恥らいを含んだ弱々しい声で話す。まるで初めての相手とするかのように。 「……別に不能という訳ではあるまい」 グリフォンは恥ずかしそうに頷く。 「ならば問題無かろう、只の手淫如きに……何をそこまで恥じらう必要がある」 グラントはグリフォンのロングタイツに手をかけた。 グリフォンは慌ててそれを止める。 「ユー!待ってくれ!少し時間をくれ!」 「俺が嫌いなものはな――」 グラントの手に力が籠められる。 「命乞いだ」 グラントは有無を言わさずグリフォンのタイツを下着ごと一気に引き下ろした。 現れた一物は完全に萎えきっているものの、それでもなお巨根と呼べるサイズだった。 太さは直径4センチほどで長さは20センチ以上あるだろうか。皮の被ったカリ高の亀頭から尿道口が僅かに露出しているのが見える。 陰毛はかなり濃い。陰嚢は大きく、ずしりと垂れ下がっている。 「ほう……」 グラントは思わず息を漏らした。 「中々立派ではないか」 その言葉に、見る間に肌が紅潮していくグリフォン。 「あぁ……あまりじっと見ないでくれ……頼む」 恥じらいを見せる巨漢の姿を尻目に、グラントはグリフォンの足首に留まっていたタイツをブーツと共に脱がせた。 「うぅ……」 マスク以外に一糸纏わぬ姿になったグリフォンは自分の巨根を両手で隠そうとするが、手より大きなそれは全てを隠しきれずにグラントの視界に収めることになった。それは逆に彼の羞恥心を高めるだけだったようだ。マスクの下で、更に耳まで赤く染めている様子が想像できた。 「……何をしている……次は貴様の番だぞ」 一瞬沈黙が流れ、それからゆっくりと、しかし力強く動き出したグリフォン。 彼はグラントのマントをに手を掛ける。 まず、マントの留め金を外し、肩紐ごと下に引っ張ると、はらりと床に落ちていくマント。 「……ユーの肉体は凄いな……プロレスラーでもここまでの筋肉は中々見ない。まるで岩の塊だ」 グラントの背後から、感嘆したような声が聞こえる。 「御託はいい……下も早く脱がせろ」 グリフォンはグラントの前で屈みこむと、動きを止めた。視線の先には胴着の股間部がテントの様に膨れ上っていた。 その膨らみの中心あたりに縦長の染みが出来、じわりとその部分が広がっていくのが分かった。グリフォンはその部分に釘付けになった。 「ユー……興奮しているのか……?」 「……そんなことはどうでもいい」 その語気に気圧されたのか、グリフォンは震える手でグラントの腰帯を解き胴着を脱がせる。 するとそこには、グラントの膨れ上がった巨大な一物が褌の前袋をはち切らんばかりに押し上げ、脈動していた。 白い褌に黒々としたシミを作りながら。 「…………!!」 グリフォンは息を飲んだ。 「何をモタついているんだ?」 「すまない……その……ユーのモノがあまりに立派だったから驚いてしまったんだ」 「フン……」 グリフォンは一呼吸付くと、意を決したようにグラントの褌を解いた。 音もなく褌が床に落ちると、中から現れたのは赤黒く怒張し、血管を浮き上がらせた巨大な一物であった。 長さは25センチ以上、太さは直径5、6センチはあるだろう。竿部分は太く硬く盛り上がり、パンプアップした腹筋のように陰影を作り出している。先端は大きく膨れあがり、黒ずんだ亀頭が包皮を押し上げ完全に露出している。 陰嚢はかなり大きめで垂れ下がっており、中に沢山の精液が溜まっていることが容易に想像できるほどだ。 グラントは鼻を鳴らす。 「始めるぞ」 そう言ってグラントはベッドに足をかけた。 ベッドに乗ったグラントは中央で胡坐をかいて座る。 「ここに座れ」 指示された通りグリフォンはグラントの前に正対して座る。 「まず右手で俺のモノを握れ、やり方が分からなければ俺と同じ動きをしろ。それだけだ」 「……お、オーケーだユー、ただその、今のユーの……状態と私の状態では……差が、ないだろうか」 確かに二人の一物は片や萎え切っており、片やはち切れそうな程に反り返っており、正反対の状態である。 「数回気を遣るだけで果てる俺では無いわ……それに――」 そう言ってグラントはグリフォンの萎えた一物を手に取る。急な感触に驚いたグリフォンの体が大きく揺れるものの、グラントは全く意に介さずにその包皮を剥き上げた。現れたのは淫水焼けし、黒ずんだ亀頭であった。 「貴様も普段は二、三回では治まらんのだろう?」 男女の経験も無しにここまで黒いとは、相当に自慰が好きだと思われる。 「うっ……!? それは……そう、なの……だが……」 図星だったのだろうか、グリフォンは言葉に詰まった様子を見せるが、暫くして気を取り直したように咳払いをする。 「…………ウム、分かった!これから私とユーの真剣勝負といこうではないか!」 もうかく恥も無くなったのか、グリフォンは勇ましく目の前の怒張を右手で包み込んできた。 その手はレスラーらしく、硬く分厚い皮膚をしていた。軽く握りしめられると、その硬さが手に伝わってくると同時に刺激が走る。 「ウ……ォ……」 快感に思わず息が漏れる。そのまま上下に手を動かされるだけで我慢汁が淫靡な音を立てていく。 その手つきは非常に緩慢なもので、グラントからすれば焦らされているかと思うほどゆっくりだ。 拙い動きだったがそのぎこちなさが余計にグラントの興奮を煽り、既に鈴口には先走りの液が溢れ、シーツに滴り始めていた。 快感に身を震わせながらも、グラントもグリフォンの萎縮しており小さく縮こまっている一物を右手で握ると、弄び始めた。 「うっ……ふっ……」 声を漏らすグリフォンを特に意に介さず、グラントはまず軽く竿を握る。萎えているのにずっしりと重い肉感を感じる。 亀頭は皮を被り柔らかいながらも、カリ首をくっきりと浮き立たせている。 次に陰嚢を揉んでみる。中身の玉の感触は意外にもふっくらとしていた。 そして、中指を伸ばして裏筋をなぞってみた。少しざらついたような肌触りだが思ったよりも滑らかで温かかった。 戯れで陰嚢を少し強めに握ってみた。びくっと一瞬グリフォンの身体が硬直する。 「おごっ……?!……あっ……」 痛みなのか快感なのか分からない声を上げるものの、すぐに平静を取り戻していた。 どうやらプロレスラーらしく急所への攻撃に対する免疫はあるらしい。 「ユー……急所への攻撃は反則技だぞ……」 グリフォンは多少困惑しつつも余裕のある様子で軽口を叩いてきた。ならばこちらも遠慮する必要は無いだろう。 グラントは最初は軽く握りこんで優しく撫でるような愛撫を行う。次第にゆっくりと包皮ごと大きく扱き始めると、徐々に芯を持ち始めた。 「……んぐっ、あぁっ」 グリフォンが息を吐いた瞬間を狙い、亀頭を包み込むように強く握りこむと、その大きさにふさわしい重量で手がずしりと沈む感覚。 親指でぐいと鈴口を押しつぶすと、先走り汁で指が濡れる感触がした。 「……っくふぅ!!」 グリフォンが身をよじらせつつ腰を引くが、グラントは逃がすまいと手を離さず、そのまま手を上下に動かし続ける。 手の中の剛直は次第に太さを増し、さらに硬くなる。やがて、その大きな肉茎は完全に天を衝いた。 怒張したそれは長さが30センチ程にもなりそうな迫力であった。亀頭の直径は7センチほどで赤黒く血管を浮き上がらせており、その先端からは粘液質の透明汁が大量にあふれ出て、竿全体に厭らしく纏わりついている。陰嚢は巨大な双球が時折びくんと収縮を繰り返し、まるで生きているかのようだった。 これだけ随分と立派なモノを持ちながら抱いた経験が無いとは信じ難いな。グラントは内心感嘆しつつも表面上は冷静にそれを観察していた。 ……そろそろ頃合いか。 グラントは硬く脈動する剛直から手を放す。 「どうしたんだい……ユー?」 そう尋ねるグリフォンの言葉には隠しきれない欲望の色が見える。 「足を開け」 グリフォンは少し恥ずかしそうに目をそらしながら、両足を大きく開いた。 筋肉質ではあるが無駄な贅肉のない足が左右に開く。中央にははち切れんばかりに怒張して震える一物が良く見える。 グラントはその投げ出された脚の上に自らの脚を乗せ、さらに体をグリフォンに寄せた。 対面座位のような体勢で二人は見つめ合う。互いの荒い息遣いがはっきりと聞こえるほど二人の距離は近くなっていた。 「続けるぞ。気を遣りそうになった時は言え」 「う……ぁ……分かった、ユー……」 再び互いの一物を握り、動きが再開される。グリフォンも要領が分かってきたのか、次第にグラントのリズムに合わせていくようになった。 先走りの滑りを借りて徐々に速度を上げ、互いに相手の弱点を探すように攻め方を変えて行く。 「……ハハ、っぅ、まるで……プロレスのようだ……な、……っぁ!」 「……黙っていろ。気が散る」 グラントの責め手は徐々に大胆になっていく。亀頭を親指でなぞるように刺激する、するとすぐに鈴口からは粘ついた我慢汁が大量に溢れ出す。それを潤滑油にして激しく扱きあげると、ぐちゃぐちゃと厭らしい音が響く。 「!?それは駄目だッ……ユー!! もう……出ッ……!?……ッがあッ!?」 グリフォンが苦悶の叫びをあげる。限界を見極めていたグラントがグリフォンの縮み上がった陰嚢を力強く引き下げた為だ。 「……俺ももう少しなのだ、耐えろ」 「す……すまぬ、だが……は……早くしてくれ……ユー、気が変になりそうだ……!……ッく……ぁあああっ!」 その言葉は本当で既にグリフォンの限界点は近く、グラントの手の中では亀頭は今にも破裂せんとパンパンに膨れ上がっていた。 寸止めを続けられ、グリフォンは早く解放してくれと懇願するかのように我武者羅にグラントの剛直を擦り上げてくる。 ごつごつとした手が竿を強く圧迫し、亀頭を執拗にこすり上げる。裏筋やカリの部分にまでその太い指先が侵入していくかのようだ。 亀頭の部分を親指で押さえつけられると、思わず身を震わせてしまう。 不意に下腹が収縮し、睾丸が持ち上がりつつある感覚。グラントもまた限界が近い事を感じた。 「おい……一度手を退かせ……っ」 グラントは右手でグリフォンの手を掴んで強引に一物から引き剥がす。 そしてグリフォンへ跨る様に開いていた脚を、今度は胴に抱き着くように絡ませた。 互いの既に痛々しい程に膨張した怒張が直接触れ合う。汗に塗れた胸、腹がぶつかり、鼓動が伝わる。 その刺激だけでも絶頂してしまいそうになりながらグラントはその寸前で踏みとどまる。 既に我慢汁でぬるつく互いの怒張はぶつかる度にぬちゅっと卑猥な音を立てるのが何とも言えず情欲を刺激する。 「いいぞ、続けるぞ……っ」 グラントはグリフォンの手を握ったままの自らの手を互いの怒張へ導く。 亀頭同士が押し合わされるように擦り上げられる。 竿同士も押し付け合って密着させる。裏筋同士もくびれの所でひっかけるようにして刺激を与えていく。 互いに腰を上下に動かしながら陰茎全体を使って愛撫を続ける。 時折ぐりっと強く相手の鈴口を押しつぶすような動きをする度に強烈な快楽を感じる。 その快感に思わず達してしまいそうになるのを必死でこらえていた。 グラントは唇を噛む。そして目を強く閉じて顔を伏せた。グリフォンの肩に置いた手に力が入る。 一方グリフォンも、この快楽を堪えようとするかの様にグラントの首に強く顔を埋めた。 互いから立ち上る獣の様な汗臭い匂いが脳髄を刺激し、理性を溶かし始める。 もう限界だった。 下腹が熱くなる感覚。それは尿道をせり上がってくる。 「……グッ…………出るぞッ!」 そして次の瞬間、 「――――ウガァァァァッ!!」 「――――んおおおおぉぉ!!」 二人は全身を仰け反らせながらほぼ同時に達した。熱い飛沫が上がり、互いの下腹部を汚した。 その臭いだけで再度絶頂を迎えてしまいそうな濃厚さだった。 薄暗い空間に荒い呼吸だけが響く。汗と精液でシーツは二人を中心にどろりと濡れ、湯気を上げている。 部屋の空気は、生暖かいというよりも熱くて湿っぽいという方が表現としては適切だ。 しかしそれでもなお息苦しい。お互いの激しい興奮がそのまま温度や湿度となり現れているようであった。 しばらくして、グリフォンの方が口を開いた。 「……ハハハ、凄いな……ユーの技は、こんなのは……初めてだ……」 息も絶え絶えになりながら、グリフォンは言った。身体からは滝のように汗が流れており、その目は虚ろで焦点が定まっていない。 「……まだ休むには早いぞ」 精液に塗れ萎えかかったグリフォンの一物をグラントは握ると再び手淫を開始した。 射精直後の敏感な状態でグラントの手から与えられる刺激は強烈なものとなってグリフォンに襲い掛かる。 「あ、うぐぁ、待って、くれ……私も今出たばかりなんだ……もうちょっとだけ……休ませてくれないか……」 しかし、その懇願は無視されグラントの右手が激しく動き出す。亀頭を撫でるように指先が這う。左手で包み、揉みほぐす。竿を擦り上げ尿道をぐりぐりと親指で圧迫する。 「があぁああぁっ!!や、止めるんだ、ユー!……あっ……!?……で、出っ!」 そう叫びながらグリフォンは再度白濁とした粘液をグラントの胸板に撒き散らす。大量の熱い液体が胸筋を流れていく。 「『同時に射精する』というルールは達成した。後は貴様と俺との枯れ果てるまで根競べという訳だ」 思い出した、と言わんばかりにグリフォンは口を開く。 「そ、そうだったな。第二ラウンドは私とユーのギブアップ無しのデスマッチといこうじゃないか!」 そう言うとグリフォンはグラントを抱き寄せる。先程まで及び腰だったとは思えない程強い力だ。 体液に塗れている鍛え抜かれた肉体同士が再び触れ合う。 「フン……今度は容赦せんぞ」 グラントは鼻で笑う。 ―――――――― 漆黒の闇の中に明かりが見える。 蝋燭の光だろうか。微かに揺らめく光がこちらに近寄ってくるように感じた。 視界に広がる薄暗い洞穴の闇、いつも目覚める時の光景だ。 あれは夢だったのか? そんな疑問を浮かべつつ、グラントはゆっくりと起き上がる。 全身を見てみるがしっかりと胴着も履いており、特に異常はないようだ。 しかし身体に残る感触。まるで自分のものではないような重々しい余韻を感じる。 ふと仮面に手をやると、手に違和感を感じた。何か付着している……掌に取ってみると、それは赤い色をした一枚の羽根だった。 ……下らん。 グラントは立ち上がると、篝火へと近づく。 そして掌の羽根を炎に焚べると、羽根は音もなく燃え尽きていった。 ―――――――― 豪奢だが生活感のない、調度品だけで構成された部屋に二人の人物がいる。 「カインよ……大会の首尾はどうだ……?」 グラントは白スーツに身を包む金髪の男に話しかける。 「順調だ……目論見通り『彼』も出場するしな……それと最後に、面白い物を見つけたのだが」 そう言うとカインは懐から一枚の紙をグラントに手渡す。新聞の記事のようだ。 「今朝の新聞だ」 見出しには大きな活字で『グリフォンマスク、異種格闘大会に出場』と書かれており、写真には見覚えのあるマスクを被った大男が写っていた。 ……何故カインはこの男の事を知っている?俺は話した覚えが無いが…… 記事にはインタビューの内容が書かれている…… 『グリフォンマスク、なぜ今回の格闘大会へ出場を?』 「私を蘇らせた子供たちの声援に応えるために新たな舞台へ挑もう、そう思ったのだ!」 この後も延々と大会への意気込みなどを語っている。 ……カインはこんな下らん記事を話題にしたかったのか……? インタビューは最後の質問に入る。 『では最後に、誰かにメッセージはありますか?』 「子供たちよ、私は絶対に屈しない!見ていてくれ!」 「そしてグラント、ユーとの決着はまだついていない!白黒つけようではないか。楽しみにしているぞ!」 この後も大して中身の無い内容がつらつらと続いていた。 「……知り合いか?」 「まさか……こんな虚飾に塗れた男は知らんな」 「そうだな……すまない、その記事の事は忘れてくれ」 「……フン、また会おう。我が盟友よ」 グラントは記事を握り潰して投げ捨てると部屋の外に出る。 あの男が大会を勝ち残れるとは思わないが……もし勝ち残ったとしたなら、その時は俺の手で化けの皮を剥がして決着をつけてやるとしよう。 グラントは僅かに燻る情欲を秘めながら闇の中へと消えていった……。